エンジニアだからこそ楽しめるゲームがある
仕事柄、私は長くハード開発の世界に身を置いてきました。
配線一本、ロジックひとつ、調整を一段変えるだけで動作が大きく変わる世界にどっぷり浸かっていると、ゲームにも “工学的なおもしろさ” を自然と求めてしまいます。
若い頃はロボットゲームを中心に楽しんできましたが、年齢を重ねてから改めて「技術屋として面白い」と思えるゲームに出会うことがあります。
単に爽快感を楽しむのではなく、仕組みを理解し、改善し、最適化し、自分の手で“正しい答え”ではなく“納得した形”へ仕上げていくという、そんなゲームは、エンジニアにとって心地よい知的遊び場です。
今回は、長年エンジニアとして働き続けてきた私が、エンジニアだったら「これはハマる」と思える3本を紹介します。
いずれも、理系脳がフル稼働し、時間を忘れて没頭してしまう作品ばかりです。
Factorio
エンジニアに最も危険なゲームと言われるわけ
Factorioは、資源の採掘、加工、輸送、製造、そして自動化まで、自分で工場を設計していくゲームです。
作業はすべてプレイヤーが構築しなければなりません。
ラインが長くなり、分岐が増え、複雑になればなるほど、「どこで詰まっているのか」「どの部分がボトルネックになっているのか」と自然に分析したくなります。
これは仕事で回路設計やロジック構築に携わっている方なら、強烈に刺さる感覚だと思います。
ある程度作り込んだ段階で、それまでうまくいっていたラインの負荷が急に飽和して詰まり出す瞬間があります。その時に発生する“原因探し”がたまらなく面白いのです。
工程がうまく流れると、ライン全体が一気に動き出すあの快感は、設計が成功したときの現場の感覚にどこか似ています。
一つひとつの工程を見直し、最短距離や最適ルートを組み立て、余計な手間を省き、余裕ができたらさらに自動化する。まさにエンジニアリングそのものです。
また、見た目は地味ですが、ロジスティクスの世界に興味がある方ならこれ以上ないゲームと言えます。
何時間でも設計図を眺めていられるタイプの人は、間違いなく数百時間を吸い取られるでしょう。
Kerbal Space Program
本物の「物理と工学」で遊べる宇宙シミュレーション
Kerbal Space Programは、宇宙船を作り、打ち上げ、軌道に乗せ、他の天体に到達するというゲームです。
ロケットの形状やパーツの配置、重量バランス、推力、燃料配分、そして空気抵抗や重力といった物理現象を非常にリアルに扱っています。
実際、プレイしてみると驚くほど理系的な思考が求められます。
例えば、推力を少し変えるだけで挙動が大きく変わり、重心の位置をずらしただけで飛行安定性が崩れるという、現実のロケット開発がいかに難しいかが、ある意味で体感できます。
さらに、地球のような惑星の重力井戸を抜けて軌道に乗る感覚や、他の惑星の重力を利用して軌道変更する“スイングバイ”など、物理システムを理解するほどゲームが有利に進みます。
「なぜこのロケットは倒れるのか」
「なぜ燃料が足りないのか」
「なぜ軌道が交差しないのか」
これらを自分で考え、試し、失敗し、改良する。工学的なプロセスそのものがゲームに落とし込まれています。
そして何より、「地味に難しいけれど成功した瞬間の喜び」が圧倒的です。
最初に軌道投入に成功したとき、あるいは初めて他の天体に着陸できたときの達成感は格別です。
エンジニアの方であれば、この“成功体験の積み重ね”が非常に心地よいはずです。
Opus Magnum
ロジックと美しさが混ざり合う回路的パズル
Opus Magnumは、素材を加工し組み合わせて、特定の薬品や物質を作る“錬金術”をテーマにしたパズルゲームです。
しかし実際のところ、やっていることは完全に回路設計です。
アームの動きを組み合わせ、動作タイミングを調整し、効率や美しさを追求して構造を最適化していきます。
パズルとしての正解は複数あり、どれが優れているかはプレイヤーの価値観によって変わります。
手数を減らすか、動作時間を短くするか、消費コストを下げるか、スペースを最小化するかなど、現実の設計と同じように、何を優先するかという“判断”が必要になるのが面白い点です。
このゲームは、完成したときの“動き”がとても美しいのも魅力です。
自分で組んだ回路が滑らかに動き出し、無駄のないラインを描くと、心から「これは良い設計だ」と実感できます。
また、難しいパズルほど成功した瞬間の気持ちよさが大きく、思考が冴えるような感覚があります。
エンジニアリングの美しさとパズルの面白さが、最高のバランスで融合している作品です。
まとめ
今回紹介した3本のゲームはいずれも、単なる娯楽ではなく“考える楽しさ”に満ちています。
・Factorioは工場設計の快感
・Kerbal Space Programは工学と物理の理解
・Opus Magnumはロジックと最適化の美しさ
どれも時間を忘れて没頭してしまうタイプの作品です。
エンジニアとしての経験を積んだ50代だからこそ、これらのゲームがより深く、より面白く感じられるのではないかと思います。
若い頃には気付けなかった細かな部分や工学的な妙が、今の自分だから理解できるという感覚がきっとあるはずです。
忙しい日々の中で、ふと時間ができたとき、思考を使って楽しめるゲームに触れるのも悪くないと思います。
仕事で磨いてきた技術的な感覚を、ゲームという気軽な場で存分に発揮できるのもまた嬉しいものです。
もしまだプレイしたことがない作品があれば、ぜひ一度試してみてください。
エンジニアとしての血が騒ぐような、濃密な体験が待っているはずです。
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