カルネージハートというゲームが育ててくれたエンジニア思考― ロジック作りに没頭した日々

試行錯誤の楽しさが、エンジニアとしての思考を形づくった

自分がロボットゲームに強く惹かれてきた理由を明確に説明しようとすると、実ははっきりとは思い出せません。

気付いたときには自然とロボットという存在に魅力を感じていて、ガンダムのアニメに触れたころにはもう「ロボットが好きな少年」になっていました。

ただ、その後の人生を振り返ると、ロボットやメカへの興味は確実に今の自分の仕事や価値観にもつながっているのだと感じます。

そんな私の中で、ひときわ強烈な印象を残したゲームがありました。

それが 「カルネージハート」 です。

このゲームとの出会いが、今のエンジニアとしての “考え方の核” を作ってくれたといっても過言ではありません。

この記事では、当時どのようにしてこのゲームに夢中になり、どんな経験をしたのか?

そしてどのようにしてそれが現在の仕事にもつながっているのかを、ゆっくり振り返ってみたいと思います。

【カルネージハートの歴史と進化を知りたい方はこちら】

ロジックが“命を持つ”瞬間に心を持っていかれた

カルネージハートを初めてプレイしたとき、私はすぐにこのゲームの特殊性に惹き込まれました。

一般的なロボットゲームのように、プレイヤーが機体を操作するのではなく、AIプログラムを組んで自律戦闘させるというシステムは、当時としてはあまりに斬新でした。

最初はただ命令チップを並べて条件分岐を作り、機体が動き出すのを見るだけでワクワクしたものです。

「こっちに敵がいたら近づく」
「攻撃を受けたら距離を取る」

そんな初歩的なロジックでも、機体が自分の指示通りに“考え、動く”ことがとにかく楽しかったのです。

しかし、その楽しさはすぐに “試行錯誤の沼” へと変わっていきました。

思い通りにならないからこそ、さらに面白くなる

初めてロジックを積んだ機体は、ただ敵に向かって突撃するだけで、あっさり撃破されてしまいました。

ロジックを追加して回避行動を組み込むと、今度は回避ばかりして攻撃しない。

攻撃の条件を少し緩くすると、今度は回避しなくなり被弾が増える。

とにかく、意図通りに動かすのが難しいのです。

ただ、この「うまくいかない体験」がものすごく楽しかった。

原因を探し、どこで判断が狂っているのかを確認し、チップの順番や条件値を微調整し、再びテストし、そしてまた修正という、この循環に完全に没頭していました。

当時はオンライン対戦が普及しておらず、誰かと腕前を競うことは簡単ではありませんでした。

それでも、機体の動作が少しずつ改善されていく過程は、まるで自分の作ったロボットに命を吹き込んでいくようで、時間を忘れて取り組めるほど熱中していたのです。

3機チームの役割分担は“戦術の設計”そのものだった

カルネージハートでは1対1の戦いではなく、1チーム3機のロボットが戦います。

そのため、1機だけ完璧に仕上げても勝てませんでした。

  • 前衛を張る突撃機
  • 中距離支援の万能型
  • 後方で索敵・援護する機体

こうした 役割のデザイン が必要になります。

しかも、それぞれの役割に合わせてAIプログラムもチューンしなければならないため、作業は単なる調整に留まらず、「戦術の設計」そのものになります。

この工程は本当に難しく、そして本当に面白いものでした。

1機の挙動を改善すると、今度は別の機体がうまく動かなくなったり、チーム全体の動きに歪みが出たりします。

そうなると、全体の動作ログを見直し、問題点を洗い出し、またロジックを組み替える。

まるで職人気質の現場作業のような、細やかな調整と検証の連続でした。

友人の一言が“負けられない戦い”に火をつけた

そんなある日、大学の友人が家に遊びに来ました。

このとき僕はカルネージハートは飽きていました。

ある程度の強い機体はできており、ゲームがクリアできるチーム構成が完成しており自分の中で納得できる機体が出来上がっていたからです。

その友達にカルネージハートを進めると、なんとはまってしまったのです。

僕の機体を相手に勝つために、暇な日は僕の部屋に入りびたり、ついに僕のチームを完膚なきまでに叩き潰すチームを作り上げたのです。

あのときの悔しさはわすれられません。

「まさか自分のロジックが負けるなんて」

私はそれまで“満足した仕上がり”だと思っていたのですが、その瞬間、「もっと強くできるはずだ」という気持ちが再び燃え上がり、改良のループへ戻っていきました。

今振り返ると、この経験が私のエンジニアとしての競争心や探究心を決定づけたのかもしれません。

【カルネージハートみたいなゲームを知りたい方はこちら】

現在の仕事につながっている“カルネージ脳”

今の私は、回路設計を中心としたハードウェア開発の仕事をしています。

課題・不具合を見つけ、原因を突き止め、改善策を練り、検証し、また改善する。

この工程はカルネージハートで日常的に行っていたことと、本質的にはほとんど同じです。

「意図通りに動かない理由を探る」
「複数の条件が干渉し合う部分を整理する」
「最適解を何度も検証する」

こうした思考は、当時のゲームで自然と身についていたのだと感じます。

ただ工学系に進んだ大学時代に、カルネージハートというゲームに出会い、培った“ロジックと検証の感覚”に何度も救われてきたような気がします。

今になって振り返ると、あのゲームとの出会いは単なる娯楽以上の価値があったような気がします。

自分で考えた仕組みが動く喜び、課題を解決していく気持ちよさ、そして、ロジックの改善がそのまま成果に現れる感覚などを初めて実感させてもらったような気がします。

これらはまさに、現在のエンジニアリングそのものであり、カルネージハートが私にとって特別なゲームである理由です。

終わりに:カルネージハートは“エンジニアの原点”

カルネージハートは、単に楽しいロボットゲームというだけではありませんでした。

ロジックを作り、試し、改善していく体験そのものが、エンジニアとしての考え方の土台をつくってくれたように思います。

  • 「思い通りにならない面白さ」
  • 「自分の手でロジックを育てていく感覚」
  • 「改善が形になる喜び」

この3つは、今でも私の中に息づいています。

カルネージハートという作品は、きっとこれからも特別であり続けるでしょう。

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