新卒で回路設計に配属された私の仕事内容|設計ではなく信頼性評価を担当した理由

新卒で回路設計の仕事に就きたいと考えている人の中には、入社したらすぐに回路図を描いたり、製品の設計を担当したりできると思っている人もいるのではないでしょうか。

私が新人時代に担当していた仕事内容は、製品の信頼性評価と、試験で不具合が発生した際の原因調査でした。

回路設計の部署に配属されましたが、最初から製品設計を担当していたわけではありません。

当時、上司から説明されたのは、製品がどのような環境で使用され、どのような性能を保証しなければならないのかを理解していなければ、適切な部品選定や回路図の作成、基板パターンの設計はできないということでした。

回路設計には、電気回路の知識や部品の特性に関する知識が必要です。

しかし、それだけでは十分ではありません。

設計する製品にどのような品質が求められているのかを理解することも、回路設計者に必要な知識です。

この記事では、新卒で回路設計に配属された私が新人時代に経験した信頼性評価を例に、製品設計に携わる前に知っておきたいことと、その経験を実際の設計にどう生かすのかを紹介します。

新卒で回路設計に配属されても、すぐに製品設計を担当するとは限らない

回路設計の仕事では、要求された機能を実現するために回路を考え、必要な部品を選び、基板のパターンを設計します。

そのため、電気回路の基礎知識や電子部品の特性を理解しておくことは欠かせません。

ただし、製品設計は、回路図の上で正常に動作する回路を作れば終わりという仕事ではありません。

製品は、実際に使用される環境の中で、求められた性能を満たす必要があります。

例えば、温度が変化する環境で使用される製品であれば、温度によって部品の特性がどのように変化するかを考えなければなりません。

静電気の影響を受ける可能性がある製品であれば、静電気による誤動作や部品破壊への対策も必要になります。

つまり、設計する製品に求められる品質を理解し、その品質を実現できるように回路を考える必要があります。

上司から教わった、設計前に知っておくべきこと

新人時代、私が信頼性評価を担当することになった理由は、上司から説明されました。

製品がどのような環境で使用され、そこでどのような性能を保証しなければならないのかを知らなければ、適切な部品選定や回路設計はできない。

だからこそ、まずは製品がどのような試験を受け、何を満たさなければならないのかを理解する必要がある、という考え方でした。

私はこの説明を受け、信頼性評価を担当しました。

新卒で回路設計に配属された人にとって、最初に任される仕事は会社や製品によって異なると思います。

必ず信頼性評価から始めるというわけではありません。

しかし、製品設計に携わるのであれば、電気の知識だけでなく、開発する製品に求められる品質を理解することが重要です。

回路設計に必要な信頼性試験とは?

信頼性試験とは、製品が想定された使用環境や試験条件において、要求された性能や品質を満たせるかを確認するための試験です。

製品によって必要な試験は異なります。

温度変化への耐性を確認する試験や、振動に対する耐性を確認する試験、静電気放電による影響を確認する試験などがあります。

こうした試験を通じて、製品に不具合が発生しないか、要求された性能を維持できるかを確認します。

信頼性試験で重要なのは、合格か不合格かという結果だけではありません。

試験によって何を確認しようとしているのか、製品にどのような影響が発生する可能性があるのかを理解することも大切です。

信頼性試験を経験すると、製品に求められる品質が見えてくる

回路図や部品の仕様書を見れば、回路の構成や部品の定格、特性などを確認できます。

しかし、それだけでは、実際の製品がどのような条件で使用され、どのような不具合が発生する可能性があるのかを具体的にイメージできない場合があります。

信頼性試験を担当すると、製品に試験条件を加えたときの反応を直接確認できます。

試験で不具合が発生すれば、その現象を調査し、原因を考えることになります。

こうした経験を通じて、製品に求められる品質と、設計時に考慮すべき内容との関係を学ぶことができます。

実体験|静電気放電試験で学んだ回路設計の注意点

私が新人時代に担当した信頼性評価の一つに、静電気放電試験がありました。

静電気放電試験は、製品に静電気を放電させ、その影響によって誤動作や部品破壊などが発生しないかを確認する試験です。

静電気放電試験には、主に気中放電と接触放電という方法があります。

気中放電と接触放電の違い

気中放電は、試験用の電極を試験対象に近づけ、空気中で放電させる方法です。

電極と試験対象の間で放電が発生し、その影響を確認します。

接触放電は、試験用の電極を試験対象に接触させた状態で放電させる方法です。

接触させた状態から放電するため、気中放電とは放電のさせ方が異なります。

どちらも静電気による製品への影響を確認するための試験ですが、放電方法が異なります。

実際の試験では、製品が誤動作したり、部品が破壊されたりすることがありました。

試験を通じて、製品が正常に動作するかどうかを確認するだけでなく、問題が発生した場合に、どこに影響が出たのかを調べることも重要だと学びました。

放電したライン上の部品が破壊された

接触放電試験では、放電したライン上にある部品が破壊されることがありました。

部品が破壊されれば、製品に求められる品質を満たせなくなるため、対策が必要です。

実際に、対策部品を追加する対応も行いました。

ただし、部品が破壊されたという現象だけを確認して終わりにしてしまうと、設計上の問題を十分に理解できません。

どのラインに放電したのか、どの部品が破壊されたのかを確認し、発生した現象と回路の関係を考える必要があります。

こうした調査によって、不具合への対策だけでなく、設計時に考慮すべき点も学ぶことができます。

放電したライン以外の部品が破壊された

さらに、放電したライン上の部品だけでなく、直接放電していないラインの部品が破壊されることもありました。

このときは、破壊された部品だけを見るのではなく、基板のパターンを確認し、二次放電が起きている箇所を特定しました。

この経験から学んだのは、製品の不具合を調べるときには、部品単体や回路図上の接続関係だけでなく、実際の基板の構造まで確認する必要があるということです。

回路図では、部品同士がどのように電気的に接続されているかを確認できます。

一方、基板には部品の配置やパターンの引き回しがあります。

そのため、実際に発生した現象を理解するには、回路図と基板の両方を確認することが重要になります。

私が経験した静電気放電試験は、試験で発生した不具合を調査することが、設計上の注意点を学ぶ機会になることを実感した経験でした。

信頼性評価で得た知識を、製品設計にどう生かすのか

信頼性評価を経験する目的は、試験の手順を覚えることだけではありません。

試験で何を確認しているのか、どのような不具合が発生する可能性があるのかを理解し、その知識を設計に生かすことが重要です。

具体的には、部品選定、回路設計、基板パターン設計という三つの場面で考えることができます。

部品選定では、製品の使用環境と部品特性を考える

電子部品には、それぞれ定格や特性があります。

設計者は、製品に求められる性能や使用環境を踏まえて、適切な部品を選ばなければなりません。

例えば、温度によって特性が変化する部品であれば、その変化が製品の動作にどのような影響を与えるかを考える必要があります。

また、部品の定格だけでなく、製造上のばらつきなども考慮しなければなりません。

信頼性評価を経験し、製品に求められる品質を理解していれば、部品の仕様を確認するときにも、何のためにその特性を確認するのかを意識できます。

回路設計では、機能だけでなく品質も考える

回路設計では、要求された機能を実現することが基本になります。

しかし、回路図上で正常に動作することと、製品として必要な品質を満たすことは同じではありません。

製品がどのような環境で使用され、どのような性能を保証する必要があるのかを把握したうえで、回路の構成や部品の選定を考える必要があります。

信頼性評価で経験した不具合や、その原因を調査した知識は、設計時に確認すべき項目を考えるための手掛かりになります。

ただし、過去に経験した不具合だけですべての問題を予測できるわけではありません。

製品ごとの要求仕様に合わせて検討することが必要です。

基板パターン設計では、実際の基板の構造を考える

基板パターン設計では、部品をどこに配置し、どのように配線するかを考えます。

回路図上では同じ接続関係であっても、実際の基板では部品の配置やパターンの引き回しが異なります。

私が静電気放電試験で経験したように、放電したライン以外の部品が破壊される場合には、基板パターンを確認して原因を調べる必要がありました。

このような経験は、基板の設計時にも、回路図上の接続関係だけでなく、実際の基板構造を考える重要性につながります。

製品設計では、回路図を作成するだけでなく、その回路が実際の基板上でどのように構成されるのかまで考えることが大切です。

新卒で回路設計を目指す人に伝えたいこと

新卒で回路設計の仕事を目指すのであれば、まずは電気回路の基礎知識や電子部品の特性を学ぶことが必要です。

ただし、実際の製品設計では、電気の知識だけですべての問題を解決できるわけではありません。

開発する製品にどのような品質が求められているのか。

どのような環境で使用され、何を保証しなければならないのか。

こうした点を理解することも重要です。

私が新人時代に信頼性評価を担当したのは、その知識を身につけるためでした。

そして、静電気放電試験で不具合を経験し、原因を調査したことは、部品や回路だけでなく、基板パターンまで確認する必要性を学ぶ機会になりました。

回路設計の部署に配属されても、すぐに製品設計を担当できるとは限りません。

しかし、評価や故障解析などの仕事にも、製品設計につながる学びがあります。

大切なのは、担当した仕事を単なる作業として終わらせず、製品の品質を理解し、発生した現象から何を学べるかを考えることです。

回路設計者に必要なのは、電気の知識だけではありません。開発する製品に求められる品質を理解し、その品質を実現するために設計へ反映できることも、重要な力の一つです。

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